相続特集

【無効にならない・争続にならない】効力のある遺言書の書き方

せっかく遺言書を作成しても、書き方を間違ってしまうと法的効力がなく、無効になってしまう場合があります。遺言書が無効となってしまえば、遺族同士が揉める要因となるので、正しい書き方を理解しておくことが重要です。今回は無効にならない、争続とならないための遺言書の書き方と注意点について解説します。

遺言書とは?種類は大きく分けて2つある

遺言書は作成した本人が亡くなった後に、財産の処分方法や誰に遺言を執行してほしいかなどを記した法的な書類のことを指します。遺言書にはいくつか種類があり、作成方法や取り扱い方法が異なります。正しく遺言書を作成していなければ、無効になったり相続人同士がトラブルになったりするので注意が必要です。ここでは、遺言書の保管制度も含めて解説します。

相続において遺言書が持つ法的な効力

遺言書は死後の自分の財産について、誰にどのような配分をするか決めた書面のことです。民法第960条では「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」と定められており、遺言書に法的な効力を持たせるためには、法律で定められた形式で作成する必要があります。

遺言書を作成する目的は、被相続人の最終意思に沿って遺産の処分を行うことです。そのため、遺言書がある場合には原則として、遺言書に書かれている内容に沿って相続が行われます。一方で、遺言書なしの場合には民法の定めに従って法定相続が行われます。

遺言書がある場合であっても、民法では遺族が最低限相続できるものを「遺留分」として定めており、遺留分は法定相続分の2分の1となります。たとえば、遺言書にすべての財産を愛人に相続させると書かれていたとしても、妻や子ども、親などの法定相続人は、遺留分減殺請求を行うことで、遺留分の相続を主張できます。

また、相続人以外の人や団体に遺産の一部を移す「遺贈」を希望する場合は、その旨を遺言書等に記載しなければなりません。
特定の相続人に遺産を相続させたくない場合には、相続人の廃除を行うことができます。被相続人自身が生前に家庭裁判所に対して申立てを行うか、遺言書で相続人廃除を明記する方法があります。

遺言書には形式が2種類ある

遺言書の効力は法律で定められた方式に従うことで付与されますが、その方式には「普通方式」と「特別方式」があります。普通方式の遺言書は自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言があり、特別方式の遺言書は一般危急時遺言等です。

自筆証書遺言は遺言書を遺言者が自筆で作成するもので民法で定められた遺言の方式としては最もシンプルなものです。対して公正証書遺言は、遺言者が証人2名を伴い公証役場に出向き、口頭で伝えた内容を公証人が遺言書にしていきます。公証人が作成しますので形式的に無効になることのない遺言書を作ることができます。

秘密証書遺言は、遺言者が作成して封筒に封印した遺言書を証人2名を伴い公証役場へ持ち込み、そこで遺言書として手続きするものです。内容は遺言者1人で作成したものなので不備があったとしても訂正されません。秘密証書遺言は、実際にはほとんど使われていません。

特別方式の遺言書は、特殊なケース(海難事故に遭い死が差し迫っている・伝染病にかかり隔離されている等)で作成されるものです。民法第983条の定めによって、遺言者が普通方式によって遺言を行えるようになり、6ヵ月間生存するときには特別方式の遺言書は効力を生じません。

遺言書保管制度を利用しよう

自筆証書遺言に関しては自宅に保管されることが多いため、紛失や相続人による改ざん・隠匿などの問題が指摘されてきました。また、相続人が遺言書の存在自体に気づかなかったり、専門家のサポートを受けずに作成したため遺言書としての要件を満たしておらず無効になったりする問題が発生していました。

このような問題に対処するために、2020年7月10日から自筆証書遺言を法務局で保管する「遺言書保管制度」がスタートしています。自宅に保管した自筆証書遺言は、遺言を執行する際に家庭裁判所による検認手続きが必要ですが、遺言書保管制度を利用すればこうした手続きを省略できるようになりました。

法務局で保管している自筆証書遺言は、遺言者が存命中には相続人が閲覧することはできません。遺言者本人は、法務局に出向いた上で閲覧をしたり、遺言書を撤回したりすることができます。なお、遺言書の一部を修正することはできないため、内容の変更をしたい場合には新たに遺言書を作成する必要があります。

遺言書の正しい書き方と無効になるケース

遺言書は法律に則った形で作成する必要があるため、遺言書の種類ごとに正しい書き方を押さえておくことが大切です。ここでは、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つの書き方を解説します。また、遺言書が無効となってしまうケースについても紹介しますので、きちんと要件を満たしているかをチェックしましょう。

遺言書の作成手順

自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の日付・氏名・全文を書いて必ず押印します。財産目録については、2019年1月の民法改正により、自筆でなくてもよくなりパソコン等で作成可能になりました。相続人が自筆証書遺言を見つけたとしても勝手に開封してはならず、家庭裁判所で遺言書検認を行う必要があります。

公正証書遺言は前述のとおり、2人以上の証人が立ち合い、公証役場で公証人が遺言者から遺言内容を聞き取って作成する方式です。公証役場へ出向く際には、遺言者であることを確認できる書類と実印、印鑑証明書を忘れないようにしましょう。

証人に関しては、相続トラブルを防止の観点から、証人になれない人が次のとおり決められています。

①遺言で遺産を受け取る人やその配偶者、その直系血族
②推定相続人(相続が発生した時に相続人になる人)やその配偶者、その直系血族
③未成年者
④公証人の配偶者や4親等以内の親族、公証役場の職員
⑤遺言の内容を理解できない人

証人は、司法書士等の専門家や遺言者の友人・知人がなることが多いようです。
秘密証書遺言は遺言者が作成した遺言を2人以上の証人と共に公証役場に提出し、遺言書の存在を保証してもらう方式です。署名・押印を本人が行えばよく、遺言書は代筆でも認められています。ただし、現実的には利用する人はほとんどいません。

効力が無効となってしまうケース

遺言書が要件を満たしておらず無効となってしまうケースがあります。たとえば、自筆証書遺言をパソコンで作成したり、押印・署名・日付がなかったり、修正部分をルールどおりに記載できていなかったりする場合です。作成時には民法第968条(自筆証書遺言)の要件をきちんと満たしているかを確認する必要があります。

また、公正証書遺言では認知症や精神障害で遺言作成当時に遺言者に判断能力がなかった、証人が不適格だった、遺言者の真意と内容に錯誤があった等が考えられます。

まとめ

遺言書はただ書いて残せば、円満な相続が実現するわけではありません。遺言書が要件を満たしておらず無効となったり、書かれた内容が相続争いの火種となってしまったりするケースが現実としてあります。みらいリレーションは法律面からのアドバイスだけでなく、ご家族ごとに異なる事情を親身になってお伺いし、遺言者様の想いを叶える解決方法と相続人同士が揉めないための遺言書づくりをサポートします。自筆証書遺言や公正証書遺言などの遺言書作成のご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にお問合せください。公正証書遺言を作成する際に証人が見つからない場合も、みらいリレーションにてお引き受けが可能です。

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