成年後見

成年後見制度とは

判断能力が不十分な人に対して、家庭裁判所に申立てをして援助する制度です。
不動産や預貯金などの財産を自分で管理したりすること、介護サービス施設・老人ホームへの入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりすることが難しい場合、また勝手に契約を結ばされたりした場合など
被後見人(本人)の意志とは関係なく、権利を利用されたり被害にあうことがあります。被後見人(本人)代理の成年後見人をたてることで、そういった事を未然に防ぐこと、また例え認定者が詐欺にあったとしても成年後見人によって契約を取り消せるなどのメリットがあります。

どんなときに成年後見が役立つ?

①契約の無効化

例えば、判断能力が不十分なのに無理矢理、高額の商品を高鵜入させられていた場合などには、この成年後見制度を利用することで、契約の取り消し・無効を主張することができます。購入した時に成年後見制度を利用していてすでに成年後見人が居る場合は契約時には成年後見人の同意が必要になったりもします。こうしたする事で、不正な契約や悪徳業者から被後見人(本人)を守ることができます。

②財産の管理ができる

例えば病院の入居に必要なお金や、介護の際にお金が必要になった場合、通常では被後見人(本人)の口座からお金を引き出すことはできません。しかし、この成年後見制度を利用し成年後見人がいる場合は、被後見人(本人)の代理として預金口座からお金を引き出すことができます。

③介護施設・病院との契約の代理を頼める

認知症などを患っていて被後見人(本人)が介護施設や病院に入居したいにも関わらず、契約内容が理解できず入居ができない場合は成年後見人が代わりに入居の手続きや支払いを行うことができます。

④遺産分割、相続登記の代理も

例えば、自分の子供が知的障害・精神障害があり判断能力がない場合など、両親が亡くなって相続が発生したとします。当然、子に遺産を残したいのですが、子は判断能力が不十分なため、遺産分割協議を被後見人(本人)が参加する事ができません。そういった場合は家庭裁判所に申し立てて、成年後見人を選任してもらい、成年後見人が被後見人(本人)に変わって遺産分割協議の話し合いに参加してもらいます。こうすることで相続財産の権利を失うことなく相続財産を受け取ることができます。

どういった場合に成年後見を利用できるの?

たとえば下記のようなケースが想定されます。

case1

一人暮らしの老後を安心して過ごせるように、代わりに高齢者施設の入所契約や
賃貸アパートの管理をしてほしい。

case2

認知症を発症して、今後が心配だ。

case3

いわゆる悪徳商法に引っかかってしまいそうで心配だ。

case4

知的障害を持つ子供がいて、自分たちの死後、子供の将来が不安。

case5

認知症の父の世話をしているが、父の名義の不動産を売却して入院費に充てたい。

case6

高齢で寝たきりの母と同居しているが、親族から母の財産管理に 不信感を持たれている。

case7

高齢者施設に入所してい母の年金を、親族が勝手に引き出して使っている。

これらのケースはいずれも、法律判断能力が不十分な人で財産管理を信頼できる第三者に任せたり、助けてもらいたいと被後見人(本人)や親族等の関係者が希望しているケースです。

このような場合にも成年後見制度を利用して成年後見人をたてることによって例え被後見人(本人)に判断能力がなくても財産の管理や不動産の売却・管理、有料老人ホームや特別養護老人ホームや病院などへの入居手続きなども滞りなく行えるわけです。

成年後見制度を利用するメリットとデメリット

成年後見制度を利用すると確かにご本人の権利・財産を守る事ができます。しかし成年後見制度を利用するにあたり成年後見制度を理解し利用する必要があります。ではいったい成年後見制度を利用する事でどんなメリット、デメリットがあるのでしょうか?

成年後見制度を利用するメリット

①財産管理ができる

判断能力が衰えていたり、ない場合は財産を持っておくことは被後見人(本人)にも周りの人にとっても不安です。成年後見制度を利用すると被後見人(本人)の財産は家庭裁判所の管理下に置かれるため勝手に引き出す事はできません。お金を引き出したい時には少々不便ですが、この手順があることで被後見人(本人)の財産を守ることができます。

②不正な契約などを解約できる

被後見人(本人)の意志ではない悪徳業者などとの不正な契約などは一度、契約していても解約する事ができます。これにより被後見人(本人)の財産等が被害にあうことを防ぎます。

③被後見人(本人)、家族の信頼できる人に成年後見人として見守ってもらえる

裁判所は被後見人(本人)の財産・権利をきちんと管理してくれる人を成年後見人として選任しています。被後見人(本人)の意志や家族の意志があったとしても後見人として不相当だと裁判所に判断された場合は司法書士や弁護士といった専門家を成年後見人として選任することも考えられます。

成年後見制度を利用するデメリット

①会社の取締役、弁護士、医者など一定の資格がいる仕事ができなくなる

成年後見制度の利用は判断能力が低下している(判断能力がない)事が利用の前提なので、資金運用や的確な判断かつ、適切な処理が必要になってくる弁護士、医者などの専門職の資格制限などもあるため会社の取締役、弁護士、医者など一定の資格がいる仕事はできなくなる可能性があります。

②任意後見を開始する時期、判断に困る

任意後見の利用は判断能力が低下している(判断能力がない)事が利用の前提です。任意後見契約は判断能力があるうちに任意後見人を自ら選んでおいて、判断能力が低下した(判断能力がなくなった)場合に、家庭裁判所に任意後見監督人選任を申立て、受理されると任意後見が開始されます。家族などと一緒に住んでいる場合は被後見人(本人)の変化を家族などが確認する事ができ、任意後見開始を考えることもできますが、1人で住んでいる方や家族などが遠方に住んでいてなかなか被後見人(本人)の様子や状況が分かりにくい場合は、適切な時期に任意後見を開始する事ができなかったりします。任意後見がスムーズに開始できるように被後見人(本人)の状況を確認、見守っていくのが見守り契約です。

③財産はすべて家庭裁判所の管理下に

これはメリットでもありますが、被後見人(本人)の預金などを勝手に引き出す事、使う事はできません。また不動産の売却なども勝手にはできません。

成年後見の種類

成年後見には大きく分けると法定後見人と任意後見人との2種類あります。

種類 判断能力 支援者 選任方法
法定後見
制度
後見 精神障害、認知症などで
被後見人(本人)に判断能力がない
後見人 裁判所の選任によって
選ばれる
補佐 補佐人
補助 補助人
任意後見
制度
被後見人(本人)に判断能力がある 任意後見人 被後見人(本人)が代理権を与える

内容が酷似していますが、成年後見登記制度の申立全体の約8割が”後見”を利用しています。

成年後見人の選び方

成年後見人の選出方法としては家庭裁判所から選任された人が後見人をする事になります。成年後見の申立書には成年後見人の候補者を記載する欄もあり、考慮されます。

成年後見人として身近な家族・親族

財産の管理なのだから当然、いつかその財産を譲り受けることになる家族や、信頼のおける身内に成年後見人を任せるということが一番に思い浮かぶでしょう。 確かに家族には言いたいことも言える、多少の無理でも聞いてくれるなどのメリットはあるかもしれません。
しかし家族・親族ではどうしても管理が甘くなりがちになってしまうのも確かです。遺産分与の際にいざふたを開けてみると“財産が使いこまれて無くなっていた”などといった問題も起こりやすいのです。驚くことに最高裁判所の調べによると成年後見制度開始からの2年間で900件以上の被害、被害総額は80億円を超えるとのことです。
これでは成年後見制度の意味が全くないばかりか、逆にマイナスになってしまいます。

司法書士などの専門家に後見人になってもらう

司法書士・弁護士・社会福祉士などの専門家が後見人となってくれるのが『専門職後見人』です。成年後見人としての仕事の一つでもある財産の管理は最低でも年に一度は報告書を作成して提出しなければならなかったり、相続や贈与関係の問題などにも大きく関わってきます。素人ではなかな理解できない書類の作成や相続でかかってくる税金の問題なども専門家が後見人としていてくれれば鬼に金棒です。デメリットとしては報酬が発生することです。しかし後見人がいない場合などは安心です。近年では司法書士が後見人に就任する事が急増しています。

専門職後見人とは?

専門職後見人とは、司法書士・弁護士・社会福祉士などの専門家が後見人となってくれます。メリットとしては例えば司法書士・弁護士などに後見人になってもらうと法律にも詳しく不動産の売却、住居の移転、介護施設などの入居や財政管理もスムーズに行えることです。デメリットとしては報酬が発生することです。しかし後見人がいない場合などは安心です。近年では司法書士が後見人に就任する事が急増しています。

ぜひ一度、当事務所のHPへお問い合わせをしてみてください

成年後見に関してよくあるご質問

法定後見人の場合は家庭裁判所が選任します。申立書には候補者を記載する欄があるので希望がある場合はここに名前を記載することで選任する際に考慮してもらえます。しかし、家庭裁判所の調査により候補者が相続関係などから不相当である場合は後見人に選任されない場合もあります。

成年後見人は家庭裁判所が選任します。その際に後見人の希望する事は可能です。その後見人候補に問題がなく妥当であれば選任されることになるでしょう。逆に後見人になれない人は未成年者、破産者、被後見人(本人)に対して訴訟をした人および配偶者・直系血族などは後見人になれません。

成年後見制度は大きく分けて2つ、法定後見制度と任意後見制度があります。法定後見制度とは判断能力が低下、またはない場合に利用できる制度です。任意後見制度はまだ被後見人(本人)に判断能力がある方が自分で自らの代理人(任意後見人)を選び将来に備え、適切な保護・支援をしてもらいます。

参考価格

成年後見制度

項目 費用
申立時費用
  • 申立書作成報酬・・・10~20万円
  • 添付資料、印紙、鑑定など実費・・・約2~8万円程度
後見人報酬
  • 契約書起案報酬・・・ 目安:財産が少ない場合でも年間24万円程度

    親族が選任された場合には0円も可能ですが、後見人を誰にするかは裁判所が決定します。

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