建設業の許可申請

はじめに

建設業許可を持つことで、元請会社やお客様の信頼は格段にアップします。
いわば建設業許可は、役所の「お墨付き」といえる許可であり、銀行での融資を申し込む際にも、銀行が条件として出してくることもあります。
最近では、企業のガバナンス強化のため、請負金額が500万円未満であっても建設業許可を持っていない会社には工事を出さない、という元請も存在するため、今は無許可のままで良くても、元請会社の方針の転換で突然「許可がないと仕事をだせない」と言われてしまうこともあるため、積極的な許可取得を勧めします。

また、無事に許可が取れたとしても、その後毎事業年度終了ごとに決算変更届を提出し、許可の内容に変更が生じた場合は、変更届の提出が義務付けられます。
更には5年ごとに許可更新手続きも必要になります。
各種の届出を怠った場合には、更新の申請ができず、更に罰則があるので要注意。

その他、公共工事の入札を行いたい場合は、経営事項審査の申請や入札参加資格審査申請が必要になります。
公共工事発注機関が定期的に行う工事入札参加資格者の格付審査は、客観的事項の審査結果と主観的事項の審査結果を総合して行われる。この客観的事項のうち、経営規模等に係る審査が建設業法第27条の23に定める「経営事項審査」です。

建設業の新規許可申請から各種変更届、経営事項審査の申請まで
お気軽にお問い合わせください。

建設業許可とは

建設工事の完成を請け負うことを目的とし、建設業を営もうとする場合、元請か下請か、また法人か個人であるかを問わず、建設業法の規定により許可を受ける必要があります。
ただし、次のような軽微な工事(消費税を含む金額)のみを請負う場合は許可を取得する必要はありません。

建築一式工事

工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

建築一式工事以外の工事

工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
(上記記載の金額の注意点)

  1. 1つの工事を2つ以上に分割して契約しても、各契約の請負代金の合計額で考える
  2. 注文者から材料を支給される場合は、材料の市場価格や運送費を込みで考える

ただし、許可が必要ない工事でも、他の法律により登録を行う必要がある場合もある。

  1. 浄化槽工事業の登録又は届出

    浄化槽工事業を営む場合は、請負金額に関わらず「浄化槽工事業」の登録又は届出が必要。

  2. 解体工事業の登録

    解体工事業を営む場合は、平成13年12月以降、請負金額に関わらず「解体工事業」の登録が必要。ただし、「土木工事業」、「建築工事業」又は「解体工事業」のいずれかの許可を受けている場合は登録の必要はない。

  3. 電気工事業の届出

    許可を受けて電気工事業を営む場合は、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づき、「電気工事業」の届出が必要。

大臣許可と知事許可の別

営業所が所在する都道府県の数により、大臣・知事許可に分かれます。

大臣許可

2以上の都道府県に営業所(本店、支店、営業所など)を設置する場合

知事許可

同一都道府県内にのみ営業所を設置する場合
「営業所」とは・・・
本店、支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所で、営業に実質的に関与するものをいい、少なくとも次の要件を備えているものとなります。

  1. 請負契約の見積もり、入札、契約締結等の実態的な業務を行っていること。
  2. 業務に関する権限を委任されていること。
  3. 営業を行うべき場所を有し、電話、机等の備品を備えていること。

一般建設業と特定建設業

業種ごとに一般か特定のいずれかに区分されます。
そして下請契約の金額によっては特定が必要になり、業者には下請負人保護のための義務が課されます。

特定が必要な場合

発注者から直接請け負った工事1件につき、合計4,000万円以上
(建築一式工事については合計6,000万円以上)の下請契約を締結して下請負人に施工させる場合

業種毎に許可が必要

工事の種類ごとに29業種に区分されており、請け負う工事の業種毎に許可を受ける必要がある。
従って、建設業許可を取得するためには、まず29種類の業種の中から「どの業種で許可を取るか」を決定する必要がある。

  1. 土木一式工事/土木工事業

    総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事

  2. 建築一式工事/建築工事業

    総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事

  3. 大工工事/大工工事業

    木材の加工又は取付けにより工作物を築造し、又は工作物に木製設備を取付ける工事

  4. 左官工事/左官工事業

    工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、又ははり付ける工事

  5. とび・土工・コンクリート工事/とび・土工工事業

    イ)足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て、工作物の解体等を行う工事
    ロ)くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事
    ハ)土砂等の堀削、盛上げ、締固め等を行う工事
    ニ)コンクリートにより工作物を築造する工事
    ホ)その他基礎的ないしは準備的工事

  6. 石工事/石工事業

    石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む。)の加工又は積方により工作物を築造し、又は工作物に石材を取付ける工事

  7. 屋根工事/屋根工事業

    瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事

  8. 電気工事/電気工事業

    発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事

  9. 管工事/管工事業

    冷暖房、空気調和、給排水、衛生等のための設備を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事

  10. タイル・れんが・ブロック工事/タイル・れんが・ブロック工事業

    れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、又は工作物にれんが、コンクリートブロック、タイル等を取付け、又ははり付ける工事

  11. 鋼構造物工事/鋼構造物工事業

    形鋼、鋼板等の鋼材の加工又は組立てにより工作物を築造する工事

  12. 鉄筋工事/鉄筋工事業

    棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、又は組立てる工事

  13. 舗装工事/舗装工事業

    道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事

  14. しゅんせつ工事/しゅんせつ工事業

    河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事

  15. 板金工事/板金工事業

    金属薄板等を加工して工作物に取付け、又は工作物に金属製等の付属物を取付ける工事

  16. ガラス工事/ガラス工事業

    工作物にガラスを加工して取付ける工事

  17. 塗装工事/塗装工事業

    塗料、塗材等を工作物に吹付け、塗付け、又ははり付ける工事

  18. 防水工事/防水工事業

    アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事(※建築系の防水のみ)

  19. 内装仕上工事/内装仕上工事業

    木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事

  20. 機械器具設置工事/機械器具設置工事業

    機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事(組立て等を要する機械器具の設置工事のみ。他工事業種と重複する種類のものは、原則その専門工事に区分される。)

  21. 熱絶縁工事/熱絶縁工事業

    工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事

  22. 電気通信工事/電気通信工事業

    有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事

  23. 造園工事/造園工事業

    整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事

  24. さく井工事/さく井工事業

    さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事又はこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事

  25. 建具工事/建具工事業

    工作物に木製又は金属製の建具等を取付ける工事

  26. 水道施設工事/水道施設工事業

    上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事又は公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事

  27. 消防施設工事/消防施設工事業

    火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事

  28. 清掃施設工事/清掃施設工事業

    し尿処理施設又はごみ処理施設を設置する工事

  29. 解体工事/解体工事業

    工作物の解体を行う工事(それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。

総合的な企画、指導、調整のもとに、土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ土木一式工事や建築一式工事に該当する。)

建設業許可の要件

許可を受けるためには、次の要件を全て満たしている必要があります。

  1. 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者であること
  2. 専任の技術者を有していること
  3. 請負契約に関して誠実性を有していること
  4. 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること
  5. 欠格要件等に該当しないこと

(1)経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者であること

(許可を受けようとする者が次の要件(①と②)を満たしていることが必要)

  1. 常勤役員等の体制が一定の条件を満たし適切な経営能力を有すること

  2. (常勤役員等の体制が次のイとロのどちらかに該当することが必要)

    1. 常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当する者であること
      1. 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
      2. 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としてに準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
      3. 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

      これまで、経営経験は建設業に関するもの以外は認められていませんでしたが、令和2年の改正により、建設業に関するもの以外の経営経験も認められるようになりました。
      その場合の要件が、以下の通りになります。

    2. 常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限る。労務管理の業務経験と業務運営の業務経験についても同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
      1. 建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
      2. 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者

    「建設業に関し」とは、全ての建設業の種類をいい、業種ごとの区分はないです。

    「直接に補佐する」とは、常勤役員等との間に他の者を介在させることなく、組織体系上及び実態上当該常勤役員等から直接指揮命令を受け業務を行うことをいいます。

    「経営業務の管理責任者としての経験」とは・・・
    業務を執行する社員、取締役、執行役若しくは法人格のある各種の組合等の理事等、個人の事業主又は支配人、その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理した経験のことを指します。

  3. 適切な社会保険に加入していること

  4. 「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」について、法令のもと適切な届出を行っていなければならず、これらの届出がなされていない場合は、建設業の許可を取得できません。
    ※健康保険について、法人(常時5人以上の労働者を使用する個人事業主を含む)の営業所が、年金事務所長の適用除外の承認を受けて国民健康保険組合(建設国保等)に加入している場合は、「適用除外」となります。

(2)専任の技術者を有していること

許可を受けて建設業を営もうとするすべての営業所に、次に掲げる専任の技術者を
配置しなければなりません。

一般建設業

  1. 指定された学科を修めて高等学校を卒業した後5年以上実務の経験を有する者または同様に大学を卒業した後3年以上実務の経験を有する者
  2. 許可を受けようとする業種に係る建設工事に関し、10年以上の実務の経験を有する者
  3. 関連する資格(施工管理技士、建築士、技術士、電気工事士、消防設備士、技能士など)を有する者

特定建設業

  1. 関連する資格(一級の施工管理技士、一級建築士、技術士)を有している者
  2. 上記の一般建設業の要件のいずれかに該当する者のうち、許可を受けようとする業種に係る建設工事で、発注者から建設工事を請負い、その請負代金の額が4,500万円(昭和59年10月1日前の建設工事にあっては1,500万円、平成6年12月28日前の建設工事にあっては3,000万円)以上であるものに関して2年以上の指導監督的な実務経験を有する者
    1. 許可を受けようとする建設業に関し国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者
    2. 許可を受けようとする建設業に関し国土交通大臣がロに掲げる者と同等以上の能力を有すると認定した者

土木、建築、管、鋼構造物、舗装、電気及び造園の各工事業の場合は、イまたはハの1.に該当する者に限られます。

(3)請負契約に関して誠実性を有していること

請負契約に関して、下記のような不正又は不誠実な行為をするおそれがないこと。

(4)請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること

倒産することが明らかでなく、かつ、許可申請の際に次に掲げる要件を満たしていること。

一般建設業

次のいずれかに該当すること

  1. 自己資本の額が500万円以上であること
  2. 500万円以上の資金を調達する能力を有すること(預貯金の残高証明、金融機関の融資証明)
  3. 許可申請の直前過去5年間許可を受けて継続して建設業を営業した実績を有すること

特定建設業

次のいずれかに該当すること

  1. 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上であること
  3. 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること

(5)欠格要件等に該当しないこと

例として、

建設業許可申請の手続き

(1)許可申請の区分と申請内容

  1. 新規

    現在有効な許可をどの行政庁からも受けていない者が、許可を申請する場合

  2. 許可換え新規

    現在有効な建設業許可を受けている者が、営業所の新設・廃止又は主たる営業所の変更により、現在許可を受けている行政庁以外の行政庁に対して許可を申請する場合

  3. 般・特新規

    一般建設業の許可のみを受けている者が新たに特定建設業の許可を申請する場合
    特定建設業の許可のみを受けている者が新たに一般建設業の許可を申請する場合

  4. 業種追加

    一般建設業の許可を受けている者が、他の業種について一般建設業の許可を申請する場合
    特定建設業の許可を受けている者が、他の業種について特定建設業の許可を申請する場合

  5. 更新

    既に受けている許可を、そのままの要件で継続して申請する場合。5年ごとに申請する。

  6. 般・特新規+業種追加

    般・特新規と業種追加を同時に申請する場合

  7. 般・特新規+更新

    般・特新規と更新を同時に申請する場合

  8. 業種追加+更新

    業種追加と更新を同時に申請する場合

  9. 般・特新規+業種追加+更新

    般・特新規と業種追加と更新を同時に申請する場合

(2)許可手数料

<新規><許可換え新規><般・特新規>
知事許可 手数料90,000円
大臣許可 登録免許税150,000円

<業種追加><更新>
知事許可 手数料50,000円
大臣許可 手数料50,000円

一般・特定の許可の区分ごとに、それぞれ手数料が必要。

当事務所にご依頼いただく場合は、別途報酬が必要。

(3)標準処理期間

申請から許可になるまでに要する標準的な期間は、各都道府県により若干異なりますが、知事許可申請で約30日、大臣許可申請で約90日程度です。
申請に不備があり、補正を必要とする場合はこれよりも長い期間を必要とします。

許可後の手続き

(1)変更等の届出

建設業の許可を受けた後、法令等で定める事項に変更があったときは、変更があった事項ごとに、提出期限内に各種の届出を行わなけれならない。
これらの届出が適切になされていない場合、許可更新申請が受理されないので、注意が必要。

(2)更新手続き許可年月日と許可の有効期間

建設業の許可の有効期間は、許可のあった日から起算して5年間
有効期間の満了後も引き続き許可に係る建設業を営む場合には、有効期間満了の日の30日前までに許可の更新を申請しなければなりません。

なお、上記(1)の通り、更新申請時には、変更届出書(決算報告用)等の法定の届出が適正にされていなければなりません。

当事務所で適切に期限管理を行うサービスもあります、
お気軽にお問い合わせください。

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