相続特集

元気なうちに備えておくと安心。死後事務委任契約

65歳以上の単身世帯は28.8%と4世帯に1世帯となっており(令和版 高齢社会白書より)、
いわゆる「おひとりさま」の単身世帯や、高齢夫婦のみの世帯が増えています。
また、都市部を中心に親族との関係が薄くなっている人も多くなっています。
このような方は、自分が亡くなった後に必要となる諸届などの身辺整理が心配です。

死後事務委任契約とは

人が亡くなると、死亡届の提出や葬儀の手配、医療費や公共料金の支払い、
年金手続き、クレジットカードの解約といった、さまざまな手続きが発生します。
それらの亡くなった後に必要な手続きを「死後事務」と言います。

死後の事務手続きは、家族や親族が行うのが一般的ですが、
身寄りがいない人は誰が行ってくれるのか心配ではないでしょうか。

これらの煩雑な手続きを生前のうちに誰かに委任する制度が、「死後事務委任契約」です。
死後事務委任契約は、本人と依頼をする人の間で契約を結びますが、
本人の判断能力がある時でなければ受任者の指定ができないため、
元気なうちに備えておくと安心です。

■死後事務委任契約を利用したほうがよいケース

・身寄りのない人
・独身(おひとりさま)
・親族がいない、いても頼りたくない、お付き合いがない
・遠く離れて住む近親者に頼みにくい、迷惑をかけたくない
・葬儀や埋葬にこだわりがある
・事実婚、同性婚
家族で宗教に対する考え方が違う場合や、
散骨や樹木葬など自分が望む葬儀や埋葬方法を希望する場合、
事実婚や同性婚の場合は、亡くなった後の手続きができないため、
死後事務委任契約を結んでおくとスムーズに手続きを行うことができます。

 

■死後事務委任事項はできるだけ広く盛り込んでおく

ご自分が亡くなった後には様々な死後事務が発生する可能性があります。
不都合が起きないために、死後事務委任契約の内容はできるだけ広く盛り込んでおく必要があります。

<死後事務委任に盛り込む内容例>
(1)役所への届け出
(死亡届、戸籍関係の手続き、健康保険や年金の資格抹消申請など)
(2)直葬、火葬、納骨、埋葬、永代供養などに関すること
(3)家財道具や生活用品など遺品の整理・処分
(4)入院費用など医療費の精算手続き
(5)高齢者施設などの利用料の支払い
(6)公共サービスの解約・精算手続き・名義変更
(7)親族への連絡
(8)ホームページ、ブログ、SNSなどへの告知、閉鎖、解約や退会処理
(9)パソコンやスマートフォンの情報の消去
事務委任の内容はご自分が亡くなった後に行われる事務作業ですので、
作成段階でなるべく広く盛り込んでおくと安心です。

■身寄りのない人でも身辺整理が可能

<死後事務委任契約を結ぶメリット>

(1) 身寄りがない人も安心できる

自分の亡くなった後のさまざまな手続きや、身辺整理を委任できて安心です。

(2) 本人の意思に沿った身辺整理を行える

死後事務委任契約の内容は、本人(委任者)の意思に沿って決めることができます。
たとえば、「葬儀をどういう方法で行うのか」「どの遺品を処分するのか」
「SNSアカウントを閉鎖するのか」など

(3) 残された人が身辺整理を戸惑わない

死後事務委任契約の内容を決めておくと残された親族がスムーズに身辺整理を進めることができます。

(4) 身辺整理の対応漏れがなくなる

本人しか知らない銀行口座や有料サービスの登録、SNSアカウントなどがある場合には
対応が漏れてしまう恐れがあります。
死後事務委任契約を締結しておけば、それらの内容を記録しておくことができます。

死後事務委任と遺言の違い

死後事務委任と遺言は、亡くなった方のために手続きを進める点で同じですが、
次の2点が大きく違います。

(1)死後事務委任は「契約」、遺言は「単独行為」

死後事務委任は、本人(委任者)と死後事務を行う方(受任者)の間の契約に基づいて実行します。
死後事務委任の内容は、あらかじめ受任者の同意が必要です。
一方、遺言は本人(遺言者)の単独行為です。遺言で財産を取得する人は、
遺言内容にあらかじめ同意しているわけではありません。

(2)死後事務委任は「死後事務全般」、遺言は「財産承継」のみ

死後事務委任の内容は、遺言と違って自由に決めることができます。
たとえば葬儀の方法や埋葬方法、ペットの引継ぎなどを幅広く決めておくことができます。
一方、遺言は預貯金や不動産の相続先や処分方法など、
基本的に財産承継についてのみしか記載することができません。

<遺言公正証書+死後事務委任契約公正証書がおすすめ>

死後事務委任のみでは財産承継には対応できません。
また、遺言書だけを書いても死後のさまざまな手続きをまかせることができません。
両方とも依頼したいなら、「公正証書遺言」と「死後事務委任契約公正証書」という2つの公正証書を残しておきましょう。
この2つをセットで第三者の専門家(司法書士や行政書士など)に依頼をしておくと、
自分が亡くなった後に迷惑をかける心配がなくなります。

死後事務委任契約の手続き

(1)死後事務委任契約の内容を決める

亡くなった後に手続きや、遺品の処分方法など、依頼したい内容を具体的に記録しておきます。
特に本人しか知らない情報(SNSのパスワードなど)は必ず残しておきましょう。

(2)依頼をする人を見つける

死後事務委任契約は、本人と依頼をする人の間で契約を結びます。
本人が認知症などで意思表示ができなくなる前に契約を結んでおきましょう。
親族や親しい人に依頼する場合の他、弁護士や行政書士、NPOや企業、
一部の社会福祉法人などの専門家に依頼することができます。

(3)公正証書を作成する

死後事務委任契約は、公正証書を作成することが推奨されています。
公正証書とは、公証人が作成する事実を証明する文書です。
公証役場で本人の意思に基づいて契約が交わされたことを確認することができます。

 

<死後事務委任契約の預託金について>

本人(委任者)が亡くなると、葬儀や病院代、公共料金の支払いなど、様々な費用が発生します。
このような費用を死後事務委任契約の受任者が立て替えると大変です。
そういう場合に備えて、一定の金額を委任者から受任者に預託しておく方法があります。
預託金は100万円~150万円程度のケースが多いです。
尚、預託金は委任者の財産なので、通常は受託者の財産とは別管理されます。

まとめ

ご自身の亡くなった後には、役所への手続きや入院費用の精算、遺品の整理など、
さまざまな事務手続きを行わなければなりません。
身寄りや信頼できる人がいない人は、死後事務委任契約について元気なうちに考えておきたいものです。
特に財産の相続もある人は遺言書の作成も併せて検討しておきましょう。

行政書士法人みらいリレーションでは死後事務や相続に関するお悩みに、幅広く対応させていただいております。
法律的なサポートだけでなく、相談者様の状況に寄り添った丁寧な対応を心がけています。
トラブルが起こることを未然に防ぎ、ご安心して老後を過ごすことができるよう、
何かお困り事がある時は、どうぞお気軽にご相談下さい。

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