相続特集

遺言書と家族信託®(民事信託)の違い

誰にどの財産をどれだけ遺すのか指定する方法として、「遺言書」と「家族信託®(民事信託)」(以下、家族信託®と記述)があります。2つの方法は効果を持つ期間や優先度、効力を発するタイミングや期間などに違いがあります。今回は、遺言書と家族信託®の違いについて解説します。

効果を持つ期間の違い

遺言書と家族信託®の基本

遺言書はご自身の財産について、誰に、どのような形で遺すかを事前に書面で記しておくものです。

一方、家族信託®は特定の財産を元気なうちに、ご自身の家族など、信頼できる人に託す制度です。信託契約を結ぶことで、誰がどの財産を管理するかを決めます。

家族信託®では、財産を託した人(委託者)が亡くなるなどして信託契約が終了したときの財産の帰属権利者(信託財産を承継する人)を指定できます。つまり、生前は委託者から財産を託された人(受託者)に財産の管理を任せられるだけでなく、委託者が死亡した後にその財産を承継する人も指定できるので、生前から相続発生時まで一貫した対策を行うことができるのが特徴です。

効果を持つ期間が異なる

ご自身の財産を承継させるという点で、遺言書と家族信託®は同じ機能を有していますが、効力を発揮する期間には違いがあります。遺言書の場合は、相続発生時にのみ効果を発揮します。

これに対して家族信託®は、例えば、ご本人が認知症になった場合には、財産管理を配偶者に委託。その後、ご本人が亡くなられた後は配偶者が財産を継承。そして配偶者がお亡くなりになった後は、子どもが承継というように、次の代への承継の仕方まで、事前に指定することが可能です。

どこまで承継者を指定することができるかというと、信託がされた時から30年を経過した後、前の承継者が死亡したことにより、新たな承継者が死亡するまでの間とされています。つまり、30年経過した後、新たな承継は1度までということになります。

帰属権利者を誰にするかを柔軟に決められるため、ご自身の意思をより反映しやすい仕組みと言えるでしょう。

家族信託®と遺言書はどちらが優先されるか

結論から述べると、家族信託®で決められた内容は、遺言書よりも優先されます。仮に、家族信託®の契約内容と遺言書の内容が異なった場合は、信託契約で決められた内容が優先されることになります。遺言書を先に作成し、後から家族信託®の契約を結んだとしても、先に家族信託®の契約を結び、後で遺言書を作成したとしても、取り扱いは変わりません。

相続では最新の意思表示が最終的には反映されるのではないかと考える方が多いのではないかと思いますが、家族信託®によって信託契約を結ぶことによって、信託財産は委託者である本人の名義ではなくなります。従って、後から書かれた遺言書に信託財産が含まれていたとしても、信託契約の内容が優先される形となります。

生前対策・認知症対策ができるかできないか

前述のとおり、遺言書はご本人が亡くなってから効力を発揮します。一方、家族信託®では信託契約により、契約の効力の発動時期は自由に決められます。

例えば、年齢とともに収益物件を管理することが大変になってきたのですぐに子どもに管理を代わってもらいたいという場合も家族信託®であれば対応できます。また、認知症に備えてあらかじめ家族に財産管理を任せるという契約を結んでおけば、家族が本人に代わって信託口口座からお金を引き出したり、不動産の売買契約を結んだりできます。

信託財産には倒産隔離機能がある

家族信託®で実際に取り扱われることが多い財産は、金融資産(現金、預貯金、自社株など)や不動産ですが、信託財産となった財産は、委託者からも受託者からも独立した財産となります。

このことから、信託財産は委託者の倒産のリスクから保護され、委託者が破産したとしても破産手続きに組み込まれません。債権者は信託財産に対する強制執行はできません。さらに信託財産は、受託者からも独立しているため受託者の倒産・破産の影響も受けません。これを信託財産の「倒産隔離機能」といいます。倒産隔離機能は、遺言書にはない機能です。

ただし、実際に倒産の危機が迫っていて、債権の弁済を免れるために信託を利用した場合は、裁判で当該の信託を取り消すことができるとされています。

まとめ

認知症を発症すると遺言書の作成も信託契約を結ぶこともできなくなります。契約内容を理解する判断能力が問われるからです。みらいリレーションでは、家族信託®や遺言書の作成について、法律面からのアドバイスだけでなく、ご家庭の状況にあわせて対応いたします。財産管理や財産の承継について何から始めるべきかお悩みのときは、ぜひみらいリレーションにご相談ください。

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