行政書士ブログ

≪未登記建物は、相続登記義務化の対象になるのか?≫

令和6年4月から相続登記が義務化された影響により、これまで以上に相続登記のご相談をお受けする機会が増えております。しかし、不動産を調べてみると、建物の登記がされていない「未登記建物」があるお客様も多く見受けられます。
そこで今回は、未登記建物は、相続登記義務化の対象になるのかについて詳しくお伝えします。

―――未登記建物とは―――
上記のとおり、登記がされていない建物のことですが、より正確に言えば不動産登記簿の「表題部」の登記がされていない場合と、「表題部」だけある場合の2パターンございます。建物の登記簿には、建物の所在や床面積などの物理的な情報が記載された「表題部」と、建物の所有権や抵当権などの権利に関する事項が記載された「権利部」に区分けされます。実務においては、表題部の登記がない建物が多く見受けられます。
しかし、建物を新築した場合、表題登記は法律で義務付けられており、建築から1ヶ月以内に行う必要があり、表題登記の申請義務に違反すると10万円以下の過料に処せられます。
では、なぜ表題登記が義務となっているにも関わらず、未登記建物が存在するのか。
理由としては、以下の要因が考えられます。
①住宅を購入・建築する際に住宅ローンを利用せずに自己資産だけで一括購入したケース
②そもそも表題登記の義務を知らないケース(申請義務違反が理由で過料に処せられたという話は聞いたことがなく、形骸化しているのが状態です。)

―――未登記建物は相続登記義務化の対象になるのか―――
結論として、未登記建物は相続登記義務化の対象にはなりません。その理由として、相続登記義務化に関する不動産登記法第76条の2には以下のように定められております。
「所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。」
所有権の「登記名義人」とは、登記簿の「権利部」の権利者を指します。未登記建物はこの「権利部」がない不動産なので、相続登記義務化に関する上記の規定は未登記建物には適用されません。
しかし、表題登記義務に関して違反していることに変わりはありません。
相続登記義務化の背景には、「所有者不明土地」の問題があります。しかし義務化の対象は、「建物」も含まれていることから、国の施策として、土地のみではなく建物を含む不動産の所有者を明確にしたいとする意図は明らかです。
したがって、これまで形骸化していた未登記建物の表題登記義務に関しても、今後は厳格な運用がされるかもしれません。

行政書士
三好弘晃

 

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