今まで数多くの相続の場面に立ち会ってきました。今日はその中でも難しかったお話をさせていただきます。とあるご夫婦(お子様はおられない)の双方の、任意後見と身元引受を受任していた時の話です。ご主人は足が少し弱っておられました […]
◆自動車も相続手続きが必要です!◆
相続というと不動産や預貯金の手続きを思い浮かべる方が多いと思いますが、自動車も立派な相続財産であり、名義変更(移転登録)の手続きが必要となります。
相続による自動車の名義変更の期限について明確な定めはないものの、道路運送車両法第13条には「所有者の変更があつたときは、新所有者は、その事由があつた日から十五日以内に、国土交通大臣の行う移転登録の申請をしなければならない。」と定められており、相続についても例外ではないと考えられます。
これには罰則もあり、後述のようにデメリットも多いため、忘れず早めに手続きを行いましょう。
◎名義変更しないまま放置するデメリット
名義変更をしないままでは売却や廃車ができません、相続人全員の共有財産として扱うことになるため手続きが複雑になったり、費用負担の問題も発生します。
また、自動車税の納付書は所有者(納税義務者)あてに届きますので、相続人が知らずに税金を滞納してしまう恐れもあります。
さらに、故人名義のままの車を運転し、事故を起こした場合、任意保険からの補償が受けられない可能性もあります。車の名義変更とあわせ、任意保険の名義変更も忘れずにしておく必要があるでしょう。
◎まずは車検証の所有者欄を確認
自動車の相続でまず必要なのは、所有者の確認です。
故人が乗っていた自動車なのだから所有者は故人だろうと思われるかもしれませんが、必ずしもそうとはかぎりません。車の場合、所有権が信販会社やディーラーなどに留保されたまま、ローンを支払いながら利用している場合があります。その場合は車検証の所有者欄に信販会社等の名称が記載され、故人の名前は使用者欄にのみ記載されています。車検証の所有者欄を確認し、故人の名前があれば、相続手続き(移転登録)を行います。
所有者欄に信販会社等が記載されている場合には、ローン完済しているか、残債があるのかによっても必要な手続きが異なります。速やかに信販会社等に連絡し残債の有無を確認し、完済されていれば「所有権留保の解除」を依頼します。依頼書、戸籍謄本、印鑑証明書など必要な書類を提出し、譲渡証明書など名義変更に必要な書類を受領します。
ローンが残っている場合は、一括清算するか、審査を経て債務を承継するかなどを検討する必要があります。
◎自動車の相続の手続き
故人が所有者である登録自動車の相続手続きについて簡単にご説明します。
①誰が相続するのかを決める
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議を行い、相続人全員の同意で新しい所有者を決めます。共有名義にすることもできますが、その後の管理・処分が煩雑になるので、単独所有者を決めることが一般的です。遺言書がある場合は、遺言で指定された方が相続することができますので分割協議は不要です。
②必要書類を集める
以下の書類を準備しましょう。
・自動車検査証(車検証)
・戸籍謄本等(所有者の死亡と相続人全員がわかるもの)又は法定相続情報一覧図
・遺産分割協議書(相続人全員の実印を押印)や遺言書など相続人を特定できるもの
・新所有者の印鑑証明書
・新所有者の実印
・自動車保管場所証明書(いわゆる車庫証明。使用者住所が変わる場合に管轄警察署で取得)
・申請書、手数料納付書、税申告書など一般に移転登録に必要な書類(運輸支局で配布)
遺産分割協議書については、車の査定額が100万円以下の場合、新所有者の「遺産分割協議成立申立書」をもって代えることができます。これは他の相続人に実印を押印してもらわなくてもよいので手間が省ける一方、査定価格を証明する書類が必要となります。査定してもらう手間などと比較して利用してください。ただし、遺産分割協議書は不要ですが、遺産分割協議は必要です。勝手に書類を作成してトラブルにならないようにしましょう。
なお、本稿では軽自動車については省略しますが、戸籍謄本以外は売買などの名義変更と同様なので、遺産分割協議書や印鑑証明書、実印の押印などは不要です。
③運輸支局の窓口で登録申請
管轄の運輸支局の窓口へ申請します。
運輸支局の管轄が変わる場合(相続人が他県に住んでいるような場合など)には、同時に車を持ち込んで、ナンバープレートを交換し、封印をしてもらう必要があります。
あまり知られていませんが行政書士は出張封印を行うことができます(一定の研修・考査を経て、名簿に登録された行政書士に限る)。自動車を運輸支局に持ち込まなくても、行政書士が自宅など車のある所に出向いて、新しいナンバーに交換し、封印を取り付けることが認められているのです。
◎まとめ―自動車の相続手続きは行政書士が便利です
以上のように、自動車の相続手続きは意外と手間がかかります。自動車販売店などに依頼もできますが戸籍などは自分で集める必要があります。行政書士であれば戸籍等の収集から書類作成、車庫証明の取得、登録申請、ナンバー交換・封印まですべてを代行することができますので、大幅に手間を省いてかつ速やかに行えます。是非ご相談いただければと思います。
行政書士
石飛 靖明
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