相続特集

遺産分割協議の流れと注意点

遺産分割協議とは、亡くなった方の財産について「誰がどのくらいの割合でどのように相続するのか」を話し合う手続きです。遺言書がある場合には、基本的にその内容に従って遺産を分けることとなりますが、ない場合は遺産分割協議によって相続人全員が納得できる分け方を決める必要があります。

また、遺言があったとしても内容に不備があれば、やはり遺産分割協議が必要となります。相続に関する手続きの中でも特に重要度の高いステップである一方、トラブルの主要な原因にもなりやすいため、事前に流れと注意点を押さえておきましょう。

遺産分割協議の流れ

遺産分割協議の流れ
まずは遺産分割協議のおおまかな流れについて見ていきましょう。
遺産分割協議の流れ

相続人の確定

遺産分割協議は、必ず「相続人全員」で行わなければなりません。そのため、誰が相続人なのかを明らかにすることが最初のステップとなります。

たとえば、夫が再婚していてほかにも子どもがいる可能性があるなど、ケースによっては思いがけない相続人が見つかることもあります。すべての相続人を明らかにするためには、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を取得して、正確に確認することが大切です。

また、相続人の中に未成年がいる場合は、法定代理人である親権者が代理で参加することとなります。ただし、法定代理人が共同相続人の1人である場合には、お互いの利害がぶつかり合ってしまうので参加ができません。

このケースでは家庭裁判所に申し立てを行い、利害関係のない特別代理人を選任する形で参加してもらう必要があります。

相続財産の確定

相続人の確定とともに重要となるのが、相続財産の調査・確定です。遺産分割では、現金や預貯金だけでなく有価証券、不動産、動産なども対象となるので、亡くなった方の資産形成の状態によっては、調査に時間がかかってしまうケースも少なくはありません。

遺産分割協議・遺産分割協議書の作成

相続人と相続財産を明らかにしたら、相続人全員で遺産分割協議を行います。なお、全員参加とはいえ、必ずしもすべての相続人が対面で会わなければならないということではありません。

Web会議や電話などでの話し合いでも問題はないため、実情に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。そして、協議がまとまったら、代表者が遺産分割協議書を作成して、各相続人の署名と押印をもらうのが一般的な流れです。

遺産分割協議の注意点

遺産分割協議の注意点
トラブルを未然に防ぎ、スムーズに遺産分割協議を進めるためには、いくつか注意しておかなければならないポイントがあります。ここでは、遺産分割協議において見落としがちな注意点を解説します。

相続開始を知ってから10ヶ月以内に終えるのが理想

被相続人の事情によっては、相続人や相続財産の確定に時間がかかってしまうケースもあります。基本的に遺産分割協議には「いつまでに済ませなければならない」といった法的な期限は設けられていないので、じっくりと手続きを済ませても問題はありません。

しかし、相続税の申告は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うこと」とされており、期間内に納付ができなければ延滞税が発生してしまうこともあります。そのため、相続開始を知ってから10ヶ月以内には遺産分割協議を済ませ、問題なく相続税の申告を行えるようにしておくのが理想です。

マイナスの財産は協議で自由に分割できない

もし、マイナスの財産を特定の相続人が受け継ぐようにしたい場合は、相続人間で話し合い、遺産分割協議書を作成したり、調停で決めたりすることができますが、それはあくまで身内での取り決めであり、債権者は承諾がないまま一部の相続人に借金の負担を偏らせることは認めません。

事例を挙げて説明しましょう。父・母・子ども1人の3人家族で父親が亡くなりました。父親には自分名義の家と200万円の銀行預金と400万円の消費者金融の借金がありました。家族で遺産分割協議を行い、借金の額は多くはないので払っていけると判断し、マイナスの財産も含めてすべての財産を母親が相続することになりました。ところが、後になって母親は借金を返済することができなくなってしまい、債権者である消費者金融は、母親にかわって子どもに借金を返済するよう求めてきました。遺産分割協議でマイナスの財産も含めて母親が相続することになったのに、子どもが支払わなければならないのか?この場合、債権者は他の相続人にも請求することができます。従って、請求された子どもは返済要請に応じなければなりません。また、債権者は母親が相続した家を差し押さえるという方法をとることもできます。

マイナスの財産が含まれている場合の遺産分割は、慎重に行いましょう。

遺産分割の決定には全員の合意が必要

遺産の分割を決めるときには、全員の合意が必要となります。相続人同士で意見が食い違い、協議が整わなかった場合には、家庭裁判所で「遺産分割調停」を行うこととなります。

遺産分割調停とは、調停委員と裁判官に入ってもらいながら、改めて話し合いによる解決を図る方法です。調停で決まった事柄は調停調書にまとめられ、判決と同じ効力を持ちます。

なお、調停でも合意を見出せなかった場合は、取り下げをしなければ自動的に「遺産分割審判」へと移行します。遺産分割審判では裁判官が相続に関するさまざまな事情を考慮したうえで審判し、結論を示すこととなります。

遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議書の作成方法
遺産分割協議書は、「相続税申告」のほかに、「金融機関での預貯金の払い戻し」「不動産の登記名義の変更」「株式・動産の名義変更」などのさまざまな場面で使用します。トラブルを防ぐためにも、協議で決まった内容は正確に盛り込んでおくことが大切です。

遺産分割協議書の書式には特に決まりがなく、手書きでもパソコンでも問題なく作成できます。作成にあたっては、誰が何の財産を相続したのかを明確に記載するとともに、財産の内容や付随する情報も正確に残しておくことが大切です。

たとえば、預貯金であれば銀行名・支店名・口座番号・金額まで明記し、不動産であれば不動産の所在・不動産の種類・面積まで具体的に記載することがポイントとなります。なお、遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印による押印が必要であり、印鑑証明書とセットで使用する場面が多いです。

まとめ

遺産分割協議ではさまざまな準備や手続きが必要であり、家庭の事情によっては想定より難航してしまうケースもしばしばあります。スムーズに手続きを進めるためには、専門家に相談してみるのも1つの方法です。相続について悩みや不安を抱えてしまったときには、ぜひみらいリレーションまでご相談ください。

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