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中小企業の経営者の平均年齢は60.3歳(帝国データバンク調べ・2021年12月現在)となり、60歳を上回っています。
中小企業の経営者の平均引退年齢は67~70歳という調査もあり、多くの経営者が引退の時期を迎えています。
一方で後継者不在に悩む企業は65%に達しており、日本国内の企業の約3分の2が後継者問題を抱えています。
【出典】帝国データバンク 「全国「社長年齢」分析調査(2021年)」
事業承継において、早めの後継者選びと育成が重要なポイントとなりますが、
経営者のノウハウや人脈といった会社の資産、会社組織の掌握などをうまく引き継ぐために、どのような計画を立てて実行していけば良いのでしょうか。
今回は会社の現状の課題を踏まえて計画的に事業承継対策を行っていくためのポイントを紹介します。
事業承継とは、経営者が後継者へ事業のバトンタッチを行う事ですが、会社がこれまで培ってきた様々な財産である
「人」、「モノ」(目に見えにくい財産)、「金」(資金)を上手に引き継ぐことが承継後の経営を安定させるためのポイントとなります。
事業承継は会社の現状を把握し、大切な財産や経営者の想いを引き継ぐために、
何を次世代に引き継ぐのかを決めることが大切です。
事業承継は会社の現状を把握し、後継者を選んで周りの承認を得て育成するなど、いくつかのステップを踏む必要があり、かなり長い時間を要します。
事業承継を決意したら、少しでも早い時期から準備を始める方がよいでしょう。
事業承継を考える場合、まずは会社の現状を正確に把握することが重要です。
経営者が会社の現状を漠然としか把握しておらず後継者に説明しないまま引き継ぐと、就任後に財務状況を初めて知ることになり経営が立ち行かなくなるケースがあります。
次のような項目をチェックし整理しておきましょう。
①会社の概要の把握
(現状と将来の見込み、キャッシュフロー、知的財産など)
②株主の把握
(株主の氏名・住所・保有株数をリストアップ)
③個人財産と会社の財産を明確に区別
(株、不動産、負債、保証など)
④後継者に引き継ぎたい理念、思い
事業承継においては、誰を後継者に選ぶかが最も重要です。
候補者選びには「親族内承継」「親族外承継」「第三者への承継(M&A)」の3つの方法があります。
下記に承継の方法をご紹介いたします。
経営者の親族の中から後継者を選びます。親族内承継は全事業承継のうち過半数を占めています。
<メリット>
親族なので社内外の理解を得られやすく、経営者が決心さえすれば事業承継計画を立てることができます。
<デメリット>
「親族に引き継いでほしい」という思いが強くなるあまり、後継者候補の能力を見極めないまま引き継いでしまう可能性があります。
また、相続人が複数いる場合は株を計画的に分配しないと経営に口を出す人が増えトラブルとなる可能性があります。
<親族内承継の進め方>
1)生前贈与による事業承継
現経営者自らの意思で、自社株や事業用財産を後継者に贈与して承継する方法です。
早期に生前贈与することで自社株や事業用財産をスムーズに移転できることがメリットです。
2)売買による事業承継
現経営者が所有する自社株や事業用資産を後継者に売却します。
後継者に資金がない場合は事前に調達する必要があります。
3)相続による事業承継
相続が発生した時に現経営者が保有する財産は法定相続人の共有財産になります。
相続人全員で遺産分割協議を行わないと財産を処分できません。
できれば遺言書を作成し遺留分を侵害しない方法で財産を分配することをおすすめします。
社内の役員や従業員などから選ぶ方法です。親族である後継者の経験が浅い場合は、ワンポイントで親族外承継を選択する方法もあります。
<メリット>
役員や従業員であれば業務内容を熟知しており、その人の業務遂行能力やリーダーシップ、社内外の人望などを見極めることができます。
人望のある人なら従業員や取引先などから理解を得やすいでしょう。
<デメリット>
現経営者から株式を買い取る必要がありますが、資金を確保できないケースがよくあります。
資金が足りない場合は「MBO(マネジメント・バイアウト)」または「EBO(エンプロイー・バイアウト)」を利用する方法もあります。
MBOは役員が、EBOは従業員が後継者になる方法です。
また、後継者の経営が安定するまで現経営者が個人保証を継続する方法もあります。
<MBOの手順>
1.現経営者から株式を買い取るために、後継者になる役員が資金調達のための法人SPCを設立
2.SPCが金融機関から融資を受ける
3.SPCが現経営者に株式の購入代金を支払い株式の譲渡を受ける
4.SPCと合併して後継者の役員が経営者になり、事業承継が完了
親族や従業員に適任者がいない場合は、M&Aによる事業承継という選択肢もあります。
<メリット>
最近はM&Aをマッチングする企業も増えており、社外から広く人材を求めることができます。
自社株や事業資産の買い取り資金を準備する必要がなく、会社の売却益を手にすることもできます。
<デメリット>
売り手と買い手の条件が合わないと話が進まないケースがあります。
事業承継計画書とは、会社の現状や課題、何をどのように承継し、何を準備するのかといった内容をまとめた書類です。
上記ステップ1~2を元に、具体的な計画を策定します。
例えば、中長期の事業計画に事業承継の計画を盛り込んだり、組織体制の構築、経営の立て直しなど時期にあった計画を策定します。
事業承継計画書を書くことにより“やらなければならないこと”に気付くことができます。
事業承継に活用すると有利な特例などの情報を取得しておきます。
①自社株や不動産などの財産を移転
②売買、贈与、相続などの対策を検討する
このように、事業承継を進めていくためには早めの準備が必要です。
また、事業承継のスタートは現状把握からになりますので、先ずは基本情報を取りまとめる事をおすすめいたします。
事業承継は長い時間を要します。早い段階から「人」「モノ(資本)」「金(資産)」の承継を計画的に考えて進めることが承継後の経営を安定させるために重要です。
事業承継を決意したときには、事業承継計画を作成することをおすすめします。
当事務所では、「会社のリレーションノート®」という事業承継の一助となる事を願って作成したノートをご用意しております。
会社の現状などを記録するほか、経営者自身や後継者候補の年齢を記入し、「何年後に関係者に理解を得るか」「何年後までに後継者の教育を終えるか」「いつまでに組織体制を構築するか」などを具体的に書き込んでいただくことで、事業承継を計画的に進めて頂くことが可能となります。
みらいリレーションには事業承継に精通する専門家が在籍しており、事業承継や相続に関するお悩みに、幅広く対応しております。
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