相続特集

土地家屋調査士から見た相続

土地家屋調査士から見た相続

ここ数年、いろいろな法律の改正が目まぐるしいですね。
我々が業としてかかわりがある法律の一つに民法がありますが、最近のトピックスは相続登記の義務化となります。
今回は土地家屋調査士から見た相続についてお話ししたいと思います。

土地家屋調査士の業務とは

農地転用申請は行政書士のお仕事ですが、農地転用が許可された後の地目変更登記は土地家屋調査士の仕事です。
測量士という資格と土地家屋調査士がわからない、という方も多いのですが、土地や建物の表題に関する登記は土地家屋調査士にしか出来ません。

 

近年の土地家屋調査士の問題

土地家屋調査士には土地の境界線を決めるという重要な仕事がありますが、結構シビアな業務です。近隣の方と境界線をめぐる攻防は年々難しくなっている感じです。
最近はもめる相手がいるだけましです。というのが、隣が空き家で所有者がどこにいるのかわからず、誰に聞いてもわからない場合や、やっとお会いできてもご老人特有の病気で単独では判断できない方も増えております。
それに加え、これは今後激増するかもしれない問題として、隣地が外国人の所有者の場合です。
「えっ、こんな田舎に」というところでも外国の方の所有の土地があり、途方に暮れる場合があります。やっとのことで居場所がわかり、ドバイに住んでおられましたが、拙い英語で電話をかけて趣旨を説明し、来日するのが半年後とかで、それまでじっと待つしかなく、その間にも何度も電話があり、とにかく大変な経験をしたことがあります。こんな苦労は二度としたくないと思いました。
またこの仕事をしているといろいろな人に遭遇します。我々がお会いするのは依頼人だけではなく、むしろ近隣の方の方が数多くお会いすることになります。
例えば1軒の住宅地の境界確定をするには、大体3~5軒ほどの隣接地の方と接することになります。そうすると年間担当している境界確定案件が一人当たり25件としても100人程度の隣接の方と接することになります。
当然いろんな方がいらっしゃるわけで、境界について文句を言ってくる人だけではなく、終始無言や終始居留守、といったなかなか手ごわい方もおられるのでこちらも日々試練の連続です。境界の紛争については、また機会がありましたら体験談をお伝えできたらと思います。

相続登記の義務化

大分話が逸れたようなので、本題の相続について触れていきたいと思います。
人がお亡くなりになり相続が発生すると、多くの方が真っ先に思うのは遺産の分割ではないでしょうか。残された相続人の間で話し合い、誰が何を相続するか決めていきます。
まとまれば遺産分割協議書を作成します。その他諸々の書類を添付して、相続の登記という流れになり、登記も完了してやっと終わった!というようになると思います。
でもちょっと待ってください!実はこの遺産分割協議書がいろいろ問題を含んでいます。
正に先週の話なのですが、土地の境界線の確定を依頼して頂いているお客様宅に訪問した時のこと、その方のお宅は農家で大きな敷地に農機具小屋や物置などが点在しておりました。その中に登記されていない建物があり、それも登記してほしい、と言われましたので
所有権の移動の流れを見るため、遺産分割協議書を見せていただきました。
この遺産分割協議書はある行政書士事務所が作成されていますが、未登記の建物は記載されていなかったのです。これでは敷地内にいくつかある未登記建物は相続をされていないことになってしまいます。つまり所有者がわからない状態、ということです。
このような状態では、それらの未登記建物の遺産分割協議をしないと建物は建てられません。つまり再度、相続人に印鑑をもらう必要があります。
やっとのことでまとまったのに!もう刺激したくない!とおっしゃっていましたが仕方ありません。もう一度未登記建物については遺産分割協議が必要なのです。

土地家屋調査士が依頼される「この土地建物を売却するので、亡くなった父が建てた未登記建物を登記してほしい」という依頼は結構あります。しかし未登記建物が遺産分割協議の対象から漏れているものも少なくありません。いや、結構漏れている、と言っても過言ではありません。なぜなら固定資産税の名寄帳を取って、被相続人の不動産をすべて特定するのですが、そもそも固定資産税がかかっていない建物は名寄帳に挙がってきません。この理由は財産的に価値が低いから課税されていないものも勿論ありますが、すごいお金をかけた建物なのに役所が把握していない場合もあります。もっと杜撰な場合は登記がある建物しか見ていない代理人もいます。現地の建物の数を数えればわかる話ですが、遺産分割協議書を作成する代理人はそこまでの調査をしない場合が多いです。
結局依頼されたお客様は更に金銭的、時間的負担を強いられることになります。
中には怒り心頭で手続きをした行政書士、司法書士を訴える!と言っている方もおられます。随分前の相続の不備を訂正するには相続人が亡くなられている場合など当時と違う状況になっている場合もあるので、無理はありません。

まとめ

相続の義務化が近づく中、行政書士、司法書士、土地家屋調査士が一つの相続案件を三位一体となって、あらゆる角度からプロの目線で万全の形にしていく、それが当グループ法人だから出来る一歩進んだ総合法務サービスのひとつであると考えています。

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