相続特集

専業農家の後継問題

5月19日から21日までG7サミットが広島で開催されました。1年を超えるロシアのウクライナ侵攻、食糧・エネルギー問題、急速な発展を見せるAIなどのデジタル対応など様々な課題が話し合われました。何よりも被爆都市である広島から、核保有国のリーダーを当事者として迎えた中で、世界に平和のメッセージを送ることができたことは、未来への一歩になったのではないかと思います。

G7サミットで注目された広島ですが、旅行先としても、広島には「原爆ドーム」(平和記念公園)・「厳島神社」(宮島)という二つの世界遺産があります。グルメもお好み焼き、広島牡蠣、瀬戸の穴子、つけ麺・汁なし担々麵(ともに広島発祥という説があります。)と揃い、プロスポーツも野球・サッカー・バスケ・バレー他とても熱く、映画好きの方には、ロケ地巡りとして、カンヌ映画祭の受賞作である「ドライブ・マイ・カー」をはじめ、古くは大林宣彦監督の尾道3部作から「男たちの大和/YAMATO」「海猿」「孤狼の血」他多く登場し、スラムダンクで湘北が山王工業と戦った全国大会会場のモデルとして描かれた体育館も実在するなど、とても楽しい街ですので近場にいらした際には是非一度お立ち寄りください。

農地を法人名義に移転

今回のお役立ち情報便ですが、現在進行形で、ご相談者と税理士と一緒に考えながら進めている事案が興味深いのでご紹介したいと思います。

ご相談者は家族で農業を営んでおられる方で、現在耕作している農地が将来相続が開始したときには市街地農地として相続税評価が跳ね上がる恐れがあるのではないかということで対策を考えようということになりました。

元々農業を承継する場合には農地に課される部分の相続税には納税猶予の制度がありますが、もっと根本から見直したいということで、農業を事業として法人化し、農地を法人名義に移転し、相続財産から外すという案を検討することになりました。

農地の所有権を第三者に移転させる場合には、農業委員会での許可取りが必要になります。一般的に第三者、特に法人が、農業用農地を取得するのはなかなかハードルが高かったのですが、平成28年の農地法改正によって、法人が農地を所有する際の要件が緩和され、「農地所有適格法人」という新たな呼称で以下のように規定されました。

1.法人形態 株式会社(公開会社でないもの)、農事組合法人、持分会社

2.事業内容 主たる事業が農業(自ら生産した農産物の加工・販売等の関連事業を含む)

[売上高の過半である]

3.議決権  農業関係者が総議決権の過半を占めること

4.役員   ・役員の過半が農業に常時従事する構成員であること

・役員又は重要な使用人が1人以上農作業に従事すること

農地所有適格法人

新たに農業に参入する会社の場合はともかく、既存の農家さんであれば、ほぼ要件をクリアして法人成りすることが可能だということが分かりました。

早速農業を主に営んでいるお父さんと息子さんで株式会社を設立し、耕作中の農地を農地評価で設立した会社に移転させることにしました。

ちなみに、「農地所有適格法人」とは、宅建業や建設業などのように、免許制度の下で、一度免許を受けると一定期間その法人の属性として保障される類のものではなく、農地取得の許可申請をする都度都度において審査され、また、毎事業年度終了後に要件適合を維持しているか確認のため農業委員会に定款や株主名簿、決算書など報告書の提出が必要となります。

一見事務手続きが煩雑化してしまうような印象ですが、個人としての農業従事者にもほぼ同様の報告が求められていますのでそこは過度の負担ではなさそうです。

相続税の対象財産を圧縮することを目的に進めた農業の法人成りでしたが、これを果たすことで、

1.農地が遺産分割の対象から外れることで、農業の事業承継が確実になる

2.役員報酬や社会保険料など税制選択の幅が増える

3.廃業農家さんからの農地承継がしやすくなる

4.農業の担い手の求人募集や設備投資の金融機関取引などで機会が拡大する

など副産物的に色々メリットになりそうなことも見えてきています。

まとめ

これまでは一般的に「事業承継」というとイコール中小企業というイメージでしたが、個人の専業農家さんでも後継問題は同じようにあるわけで、なかなか興味深い事例でした。

やまだ司法事務所 司法書士

山田 陽介

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