行政書士ブログ

「相続させる」「遺贈する」どう違う?

「相続させる」「遺贈する」どう違う?

行政書士法人みらいリレーション岡山オフィスの大和でございます。

岡山市東区の西大寺観音院では毎年2月の第3土曜日、約1万人のまわしを締めた裸の男たちが、福を呼ぶとされる木「宝木(しんぎ)」を奪い合う「西大寺会陽(別名:裸祭り)」が行われます。私もちょうど10年前に一度参加したことがあるのですが、あの異様な熱気は今でも忘れられません。
もっとも、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、今年も昨年に続き宝木の争奪戦は中止され、違う形での開催となりました。500年以上続くとされるこの祭りにおいて宝木の争奪戦が欠かさず行われていたことからすると、極めて異例の事態であることが分かります。新型コロナウイルスの一刻も早い終息を切に願います。

さて、遺言を書くときに「相続させる」と「遺贈する」という2つの表現があることは多くの方がご存じかもしれませんが、同じような意味だからどちらを使っても問題ないと思われてはいないでしょうか。今回は、「相続させる」遺言と「遺贈する」遺言の違いについてのお話です。

相続とは、亡くなった人(被相続人)が所有していた財産及び一切の権利義務を、配偶者や子など一定の身分関係にある者(法定相続人)が受け継ぐことです。従って、法定相続人以外に対して「相続させる」と書くことはできません。
一方、遺贈とは、遺言によって財産を無償で譲ることをいいます。譲る相手(受遺者)には特に制限はありません。従って、法定相続人に対してもそれ以外の個人や法人に対しても「遺贈する」と書くことができます。
そうなると、法定相続人に対しては、「相続させる」とも「遺贈する」とも書くことができるということになります。どちらも遺言者が死亡した場合に特定の相続人が財産を取得する点は同じですが、次のように違いもあります。(※遺贈には、特定の財産を指定しその遺産を受遺者に遺贈する特定遺贈と、相続財産の割合を指定して遺贈する包括遺贈がありますが、ここでは特定遺贈を前提としてお話しします。)

①不動産の場合、相続だと当該相続人が単独で登記手続をすることができますが、遺贈だと登記義務者(遺言執行者又は相続人全員)との共同申請となります。
②権利の取得を第三者に対抗するためには、相続だと法定相続分を超える権利の承継についてのみ対抗要件が必要ですが、遺贈だと全てについて対抗要件が必要です。
③借地権や借家権を取得させる場合、相続だと賃貸人の承諾は不要ですが、遺贈だと承諾が必要です。
④遺言に記載された物や権利を取得したくない場合、相続だと、当該部分のみならず相続全部を放棄しなければならず相続人としての地位も失いますが、遺贈だと、当該遺贈についてのみ放棄することができ、相続人としての地位は残ります。

④は、相続放棄と遺贈放棄が制度上別のものであるがゆえの帰結です。ここで、勘の鋭い方であればお気づきかもしれませんが、遺贈を受けた相続人が、相続人として相続放棄をすることによってマイナスの財産は引き継がず、他方で、受遺者としてプラスの財産だけ取得するということも理論上は可能と言えます。
しかし、この結果は不公平であり、債権者の権利を害することにもなりかねません。そのため、「信義則違反」や「詐害行為」と裁判所に判断され、遺贈の効力は否定される可能性が非常に高いと思われますし、無用なトラブルを発生させるだけです。

遺言を作成するときは、相続後の手続きがスムーズに進むように配慮することが重要です。
行政書士法人みらいリレーションでは、遺言作成のお手伝いをさせていただいております。
お気軽にご相談ください。

 

大和秀之
大和 秀之
社員(行政書士)
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